まず、読書によって得られるメリットは、シンプルに知識が増えることでしょう。
それをここでは、経験値が増えると表現します。
当たり前ことですが、私たちの時間は24時間です。そして私たちが普段生活する環境は固定されているのます。
例えば、普段営業マンとして働いている人が、会社の社長が普段得ている経験を自分自身で得ることは、当然不可能です。またその逆も然りです。
あるいは、日本だけで働いている人が、アメリカで働いている人が得られる経験を得られるかと言えば、もちろん不可能です。
つまり、私たちが経験できる事象は自ずと限定的なものになるということです。実生活のみで経験値を増やそうとしても、いずれ伸び率が下がっていきます。
その経験値を増やしてくれる違う方法が、ズバリ読書です。
読書による経験値の増加を語っているのが、齋藤孝さんの『読書のチカラ』です。
いずれにも共通しているのは、経験の蓄積が問題発見の大きな力になっていることだ。マニュアルなどが存在しない世界だけに、こういう力のある人ほど、「できる人」といわれるはずである。ただ私たちの場合、日常的な経験はそれなりに積んでいるはずだが、そう波瀾万丈な日々を過ごしている人は少ないだろう。また自分の仕事や勉強のことはわかっても、その範囲外の話となると、たちまち見えなくなる。つまり自分の経験だけで考えるなら、「経験値」は上がりにくいわけだ。それだけ問題の発見も難しくなるだろう。その点、本の中にはさまざまな人の経験が詰め込まれている。読書の大きなメリットの一つは、それによって他人の経験を自分の経験のように錯覚できることだ。読書自体が経験を増やすことになる、と考えてもいいだろう。
本書ではその後に、読書で得れられる経験値は、若ければ若いほど価値があるものになると述べられています。
しかも、それが若いうちであればあるほど、価値も高まる。リアルな経験は、ある程度の年月をかけなければ積み上がらない。しかし本による経験なら、さほど時間はかからない。そしてこのスピードが速いほど、次のステップに行きやすくなるはずである。
ここからもわかるように、若い人ほど読書によって経験値を積み重ねていくべきでしょう。
また、樺沢紫苑さんの『読んだら忘れない読書術』の中にも、読書による経験値の蓄積について述べられています。
繰り返しになりますが、1人の人間ができる経験、試行錯誤には限界があります。1人の人間が1年でできる試行錯誤の量は、限られているのです。しかし、本には、他人の失敗の経験や試行錯誤の跡が記されています。それを参考にするだけで、明らかに間違った道には進まないで済むのです。他人の経験を活かすことで、時間の無駄を減らして、最短距離で成功への道を歩むこと ができるのです。本を読まない人は「我流」です。その「我流」がたまたまうまくいくこともあるでしょうが、毎回、毎回「我流」が通じるほど、世の中は甘くありません。”
この中で自分自身のみの経験で生きてく人を”我流”と表現されていますが、まさに指摘の通り社会変化が激しい昨今において、我流だけで生きていくと、いずれ壁にぶつかると思います。その壁を乗り越えるためには、まさに読書によってはしごを用意するのがいいのではないでしょうか。